① 遺伝子は「設計図のページ」で、どれも2枚ある

体の作り方は、何千ものページに分かれた設計図に書かれています。色や模様を決めるページも、その中にあります。どのページも、父から1枚・母から1枚もらうので、1匹の中に2枚ずつあります。

子を作るときは、その2枚のうち1枚だけを子に渡します。父母から1枚ずつ来て、子もまた2枚になります。「親から1つずつもらって決まる」と聞いたことがあるなら、それはこのことです。

これがモルフの遺伝のぜんぶの土台です。あとの話は、この「2枚」に何が入っているか、だけ。

② モルフとは何か

遺伝子は、たまに書き写しを少し間違えることがあります。野生でも起きます。その「普通とは少し書き方が違う遺伝子」が子に渡り、そのまま代々受け継がれます。それが体の色や模様を決めるページで起きたとき、違う色や模様の子が生まれます。

人はそれを見つけて名前を付け(モルフ)、繁殖で増やし、別々に見つかったものを1匹に集めてきました。それが今のモルフです。ボールパイソンのパイドもアルビノも、最初はアフリカで捕まえた野生の個体の中に「1匹だけ違う色の子」がいた、というのが始まりです。

ノーマルとは「全ページが普通の書き方」の状態。モルフは「どれか1ページが少し違う」状態です。パイドの子も、他の何千ページは全部ノーマルです。

③ 1枚で出るか、2枚で出るか(優性・劣性)

劣性(ボールのアルビノやパイド、レオパのエクリプス、コーンのアメル、ニシアフのオレオなど)は、1枚が違う書き方でも、もう1枚の普通のページが仕事をするので、見た目は変わりません。2枚とも違う書き方になって、初めて見た目に出ます。

優性・共優性(ボールのパステルやモハベ、レオパのマックスノー、クレスのリリーホワイトなど)は、1枚が違うだけで見た目に出ます。共優性は2枚そろうと「スーパー体」と呼ばれる、さらに強く出た姿になります(スーパーパステルなど)。顕性(優性)は2枚そろっても見た目は基本同じです。

優性・劣性は「良い・悪い」ではなく、1枚で出るか、2枚そろって出るかの違いだけです。

④ 隠し持ち(het)と「66%」の意味

劣性の遺伝子を1枚だけ持っている子は、見た目はノーマルですが、その遺伝子を隠し持っています。これがhet(ヘテロ)・隠し持ちです。「ノーマル het パイド」「モハベ het クラウン」のように売られているのがこれ。

隠し持ち同士を掛けると、4分の1(25%)で2枚そろって見た目に出ます。残りの4分の3は見た目ノーマルですが、そのうち3分の2は隠し持ち、3分の1は完全ノーマル。見た目では区別できないので、ブリーダーは「66% pos het(たぶん3匹に2匹は持っている)」と表記します。シミュレーターの結果に出る「隠し持ちの可能性:○○ 66.7%」は、この数字です。

隠し持ちの子を、見た目に出ている子と掛け合わせると、孫の世代でそのモルフが出る可能性があります。ブリーダーが het を大事にするのは、見た目に出ていない遺伝子を仕込んで、次の世代で出すためです。

⑤ 別のページなら何個でも、同じページなら2枚まで

パイドとクラウンとアルビノは、別々のページです。だから1匹が全部持つことができます。何個でも重ねられるので、ブリーダーは「アルビノパイド」「クラウンパイド」のように少しずつ積み上げていきます。一度そろえたページは、そろった同士を掛ければもう外れません(100%)。

ところが一部のモルフは、名前は別々でも、じつは同じ1ページの、違う場所が違う書き方になったものです。

そのページは2枚しかないので、同じページの仲間は合わせて2つまでしか持てません。そして、父からモハベ、母からレッサーをもらうと、同じページが2枚とも違う書き方になります。すると「モハベとレッサーの両方持ち」ではなく、BEL(ブルーアイリューシー=真っ白で青い目)という別の姿になります。コーンなら、モトリー+ストライプ=モトリーストライプ、アメル+ウルトラ=ウルトラメルです。

逆に、名前が似ていても別のページのものもあります。レオパのアルビノ3系統(トレンパー・ベル・レインウォーター)は別々のページなので、トレンパー×ベルを掛けても見た目はアルビノにならず、両方を1枚ずつ隠し持つ子になります。

なぜ「BEL×BEL」でノーマルが出ないのか
ふつうのモハベは、そのページが「モハベ・普通」の2枚です。だからモハベ×モハベでは、両親とも「普通」を渡すことがあり、4分の1でノーマルが出ます。
BELは「モハベ・レッサー」の2枚で、普通の書き方のページを持っていません。渡しようがないので、BEL×BELではノーマルは出ず、スーパーモハベ・BEL・スーパーレッサーだけになります。当サイトのシミュレーターは、親が実際に持っている2枚をそのまま2枚として計算しているので、こうした結果が正しく出ます。

⑥ なぜ生まれない組み合わせ(致死)があるのか

遺伝子のページには、色を決める以外の仕事もあります。1枚が違う書き方でも、もう1枚の普通のページが仕事を続けるので生きられますが、2枚とも違うと、その仕事が完全に止まります。それが命に関わる仕事なら、卵の中で育ちきれません。ボールのスーパースパイダー・スーパーシャンパン、クレスのスーパーリリーホワイトが生まれないのはこのためです。

スパイダーとシャンパンは同じページの書き方違いなので、スパイダー×シャンパンの子も「普通の書き方のページがゼロ」になり、生まれません。

色を作る細胞と神経の細胞は、卵の中で同じ元から生まれます。そのため、色を変えるページの書き方違いが、神経にも影響することがあります。ボールのスパイダーの仲間に首がふらつく症状(ウォブル)、レオパのエニグマに神経症状が知られているのはこのためです。白い猫に耳が聞こえない子が多いのも、同じ理屈です。

⑦ 計算できないもの(多因子)

体の大きさや色の濃さのように、何十ページもが少しずつ効いて決まる特徴は、どのページがどれだけ効くか分からないため、確率では計算できません。レオパのタンジェリン、フトアゴのレッドやシトラス、クレスのハーレクインやフレイム、ニシアフのラインブリード系がこれです。

こうした特徴は、濃い子どうしを何世代も掛けて少しずつ濃くしていく「選別交配」で作られます。シミュレーターでは計算対象外です(名前だけ表示します)。

⑧ 性別で偏るもの

性別を決めるページのすぐ近くにあるモルフは、出る割合はふつうと同じでも、性別ごとに見ると偏ります(娘ばかりに出る、または息子ばかりに出る)。ボールパイソンのバナナ(コーラルグロー)がこれで、ブリーダーの間では「メスメーカー」「オスメーカー」と呼ばれます。当サイトのシミュレーターは性別を分けずに計算しているので、この偏りは出せません。

⑨ 種ごとのシミュレーター

親のモルフを選ぶだけで、生まれる子の見た目と確率を計算します。結果は「見た目」でまとめて出し、隠し持ちの可能性も添えます。

計算結果はあくまで理論値(メンデルの法則に基づく期待値)です。実際の産卵数や孵化率によって、実態は異なる場合があります。